小児の爪の形
爪(つめ)とは
爪は指先の形を整えたり、細菌やカビなどの感染を予防する働きがあります。手や足に爪があることで触角が鋭くなり、爪は感覚器の補助的な役割を果たしています。手の爪では、指先を保護する役割以外にも、物をつかむ時、指先に力をいれますが、特に小さな物では手の爪が支えとなり、力の入れ加減を調節すること働きを持っています。一方、足の爪は、安定して体を支え、歩く時にも爪先に力を入れる働きを担っています。爪は手と足の機能に欠かすことのできない大切な部分です。
健康な爪はピンク色でツヤがあり、ゆるやかなカーブでツルツルしていますが、体に病気があると、爪に変化があらわれることがあります。大人の爪はかたくて丈夫ですが、赤ちゃんの爪は、大人と違い小さくてやわらかいので、大人とは異なる爪のトラブルが起こることもあります。
気を付けないといけない爪の症状
爪は健康のバロメーターとも言われ、内臓などに病気があると爪の形は色などに変化があらわれることがあります。爪の形や色のチェックをしてみましょう。
<爪の色>
- 白色の爪:貧血、肝臓や腎臓などが原因で起こることがあります。
- 黒色の爪:生後間もなく出現することがあるが、その後消失することが多い。
- ⻩色の爪:関節リウマチが原因で起こることがあります。
<爪の形>
さじ状の爪:
スプーンネイルとも言い、爪が薄くなり、爪の両側や爪先がそり返ってスプーンのようになります。
貧血や甲状腺の病気が原因の可能性があります。
ばち状指:
指先が太鼓のばちのように丸く膨らみ、爪が指先を包むように大きくなります。
肺、心臓、肝臓の病気が原因であらわれることがあります。
赤ちゃんの爪トラブルで一番多いのは、さじ状の爪(スプーンネイル)と言われています。スプーンネイルになったからといって、痛みなどがあるわけではありませんが、爪の周りからばい菌が入り赤くなってしまうなどの症状が出ることがあります。その場合は、すぐにご相談ください。
治療
爪の治療は、その発症原因によって異なります。慢性的な外力が原因の場合は、指先に力がかかりすぎないように心がけ、爪の両端を短く切りすぎないようにすることで徐々に改善することがほとんどです。スプーンネイルの原因に多い、鉄欠乏性貧血が原因の場合には、鉄剤の内服を受ければ治癒します。
爪のケアのコツ
子どもの爪は、大人の爪と違いやわらかく、とてもデリケートです。以下のことに注意しながらケアしましょう。
爪の保湿
小さな子どもの爪のうるおいが不足すると、爪が反り返ることが多いようです。大人でも爪の乾燥を感じる方は多いですが、実は、子どもの爪は薄くて水分も少ないため、より乾燥しやすい状態です。肌と同じように爪もしっかり保湿ケアをして、反り返りなどの変形を予防しましょう。
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爪は伸ばさないで
伸びた爪を放置しないようにしましょう。伸びた爪は肌をひっかいてしまう原因にもなるだけでなく、爪が割れてしまうといったトラブルにもつながります。赤ちゃんの爪 が伸びていたら、こまめに切ってあげましょう。
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1枚の爪は数回に分けてカット
お子さんの爪を切るとき、横一直線に1回パチンと切って終了にしていませんか?横に1回切っただけでは、爪の両端が角ばった状態になってしまいます。爪を切るときは、左右にもハサミを入れて、丸い形に整えてあげましょう。巻き爪予防のため、爪の白い部分を少し残すように切るのがおすすめです。
爪は健康のバロメーター
爪は健康のバロメーターともご紹介しましたが、爪にはさまざまなトラブルがあります。スプーンネイルのように、痛みを伴わず、日常生活にも支障をきたさないことが多いですが、症状の背後には栄養不足や思わぬ病気が潜んでいることもあります。
爪の形やで凹凸を意識することで、お子さんの体調を知るきっかけにもなるので、お子さんの爪の形や色など、気になる症状がある場合は、ご相談ください。
監修者情報
及川 茂輝 院⻑
東京大学文学部大学院終了後、福島県立医科大学医学部に入学。その後、神奈川県立こども医療センター、国立病院機構横浜医療センター、横浜市立大学医学部付属病院での勤務を歴任。「あかちゃんとこどものために世界で一番よいクリニックを創る」ことを使命とし、育児に悩むお父様、お母様の気持ちに寄り添う医師として診療を行う。・日本小児科学会認定 小児科専門医
・日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医